ごくばん Vol.436 二色の独楽/井上陽水('75)

junpee2011-03-12

昨日のショックが抜けきらないまま突入する週末。アパートの大家さん、訪れた病院の先生と大震災の状況をやり取りする。被災して既に命を落とされた方々、被害を受けた方々に心痛めつつ、現在被害拡大している福島原発にも注目する。先日某ラジオ番組で、日本ほど原子力発電に偏っている国はない、というコメントを耳にしたばかりで、その中で、理由はある利権にかかわることらしいという情報を得る。僅かな強欲者の金儲けのために、多くの経済&社会弱者の生活が危ぶまれるような国であってよいものだろうか。いやきっと、世界中がそんな情勢なのだろう。過去のしわよせが押し寄せる瞬間が最も恐ろしい。
ごくばんは、本ブログ2度目登場の井上陽水、75年の名盤を。Ray Parker Jr.,David T. Walker,Gene Page等々著名ミュージシャン参加のL.A.録音盤。個人的に20年聴き続けている1枚で、内省的な雰囲気の中、サウンドの心地よさ、奥深い歌詞の妙味に心惹かれる瞬間の多いアルバムであります。おそらくDavid T. Walkerのギターであろう、ウエット&メロウな艶やかさがたまらないインスト作A1「傘がない」、なぜか昨日の震災時頭の中でリフレインした、緊張感溢れる旋律が印象的なA2「夕立」、ビートルズ調のA4"Happy Birthday"、このアルバムを購入するきっかけになった、コミカルな歌詞と本格的演奏の対比が面白いA6「御免」、畳み掛けるブルース・ロックB1「君と僕のブルース」、一転して美メロ展開な名バラードB2「野イチゴ」、哀愁味溢れる風来坊ブルースB4「旅から旅」、深夜のまどろみに溶け込むメロウ作B5「眠りにさそわれ」、そして全ての緊張感から解き放たれたかのごとく、夢の空間へと誘うB6「太陽の町」と、アルバム通して聴くしかない、これぞごくばん。Peace & Love.